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リリース検証シナリオ

デプロイ直後に「とりあえず様子を見る」で終わると、回帰の発覚が遅れ復旧コストが膨らみます。本ガイドでは、デプロイ前後にWhaTapで何をいつ確認すべきか、ロールバックを決定する 基準 は何かを整理します。

このガイドが向いている方
  • 日次・週次のデプロイ周期が速いチーム
  • CI/CDパイプラインに品質ゲートを付けたいエンジニア
  • カナリア・ブルーグリーンなど段階的デプロイを運用するチーム
  • デプロイ後「なんとなくおかしい」と基準なしで判断する状況を減らしたいチーム

事前準備

  • チームダッシュボード / アラートを運用中 → Quick Wins 3種 完了
  • デプロイ時刻の記録 が可能(Jenkins、GitHub Actions、ArgoCDなどのCI/CDログ、またはチームWiki)
  • ロールバック手順がチーム内で合意済み(最低でも「誰がロールバックを判断するか」)

リリース検証のタイムライン

  デプロイ前     デプロイ直後10分   デプロイ後1日       デプロイ後1週
↓ ↓ ↓ ↓
① ベースライン ② 急性回帰 ③ 遅延回帰 ④ トレンド検証
確保 検知 検知 & 振り返り

① デプロイ前 — ベースライン確保

ゴール: 「正常」の基準値をデプロイ直前にキャプチャする

デプロイ直前の30分〜1時間分の次の値を記録しておくと、デプロイ後の比較が明確になります。

  1. ダッシュボード から次の指標をスナップショットとして保存してください。
    • TPS(平均・ピーク)
    • 平均 / 最長応答時間
    • エラー率
    • アクティブTX数
  2. ヒットマップのパターンをスクリーンショットで保存してください(回帰後の比較用)。
  3. 記録方法は次の3つのうち1つを選択してください。
    • CI/CDパイプラインのステップで自動キャプチャ
    • チームのリリースノートテンプレートに数値フィールドを設定
    • Flexboard URLとデプロイ時刻をチームチャンネルに残す
ベースラインがあって初めて回帰が見える

「遅くなった気がする」より、「デプロイ前180ms → デプロイ後260ms、+45%」のほうが意思決定にずっと有用です。

② デプロイ直後10分 — 急性回帰の検知

ゴール: 明らかな即時回帰がある場合、10分以内に検知 → 必要ならロールバック

使用メニュー: アプリケーションダッシュボード + 該当製品のFlexboard

注視する指標(優先順)

表 | リリース直後に注視する指標
指標回帰のシグナル即時対応の候補
エラー率1%超の急増、特に5xxロールバックを強く検討
平均応答時間ベースライン比30%↑が持続原因分析と並行、閾値超えでロールバック
TPS異常な急落(依存サービス呼び出し失敗の可能性)ログ・トレースを確認
エージェント接続Inactive発生プロセス起動失敗を確認

手順

  1. デプロイ完了通知を受けた時点から 10分タイマー を開始してください。
  2. ダッシュボードを30秒〜1分間隔でリフレッシュしてください(自動更新が速ければ手動リフレッシュは不要です)。
  3. 異常な指標を見つけた場合:
    • ヒットマップ・トランザクション でパターン確認 → デプロイ前との点分布の変化
    • トランザクショントレース でサンプルを1件掘る
    • 必要に応じて 障害対応シナリオ の流れへ切り替え
  4. ロールバックの判断 は、事前に合意した トリガー基準 に従う(次セクション)

ロールバック・トリガー基準の例

チームが事前に合意しておく客観的な基準:

  • エラー率1%超が5分持続 → 自動ロールバックまたは即時ロールバック決定
  • 平均応答時間50%↑が10分持続 → ロールバック検討
  • 新しい例外クラスの5xxエラー発生 → 原因確認の上で判断
直感と基準を区別する

「なんとなく嫌な感じ」は回避の理由にはなり得ても、判断基準にはなりません。トリガー基準があってこそ 人ではなく数値がロールバックを決める 形になり、感情的な負担も減ります。

③ デプロイ後1日 — 遅延回帰の検知

ゴール: 即時の回帰はなかったが、時間が経ってから現れる問題を捉える

代表的な遅延回帰のタイプ

  • メモリリーク: デプロイ後1〜12時間でヒープメモリが徐々に増加
  • コネクションリーク: DBコネクションプールの枯渇傾向
  • GC頻度の増加: ウォームアップ後も正常に戻らない
  • 特定時間帯のみ異常: バッチ処理や定期スケジュールとの相互作用

手順

  1. デプロイ後24時間が経過したら、ダッシュボード2日間範囲 で照会してください。
    • デプロイ前24時間とデプロイ後24時間を直接比較してください。
  2. ヒープメモリ・コネクションプール・GCの推移を確認してください。関連ドキュメント: ヒープメモリのアラートDBコネクションプール
  3. 日次レポートでエラー種別の一覧を確認してください。
  4. トラフィックの時間帯ごとに性能変化を点検してください(ピーク時の再現性)。

④ デプロイ後1週 — トレンド検証と振り返り

ゴール: 「このデプロイは長期的に良い変化だったか」を判断する

確認項目

  1. レポート週次レポート を使い、デプロイ前週とデプロイ後週を比較してください。
    • Apdex、エラー率、TPS、応答時間の平均/p95/p99
  2. 該当週の イベント履歴 を確認し、新しいイベントルールの発動頻度が増えていないかを確認してください。
  3. ユーザーフィードバック(あれば)と技術指標が一致しているかを突き合わせてください。

デプロイ振り返りの記録(チームWiki)

リリース ${バージョン} 振り返り — ${YYYY-MM-DD}

## デプロイ概要
- 目的:(機能 / 改善 / 修正)
- 範囲:(影響を受けるサービス)

## 性能変化(デプロイ前後1週間の比較)
- TPS: X → Y (+Z%)
- 平均応答: X ms → Y ms
- p99応答: X ms → Y ms
- エラー率: X% → Y%

## イベント
- 回帰と判断したイベント:(あれば)
- 新たに発動したイベントルール:(あれば)

## 判断
- 成功 / 経過観察 / 部分回帰 / ロールバック

## 次のデプロイに反映すること
- (チェックリスト強化、新イベントルール、テストケースなど)

段階的デプロイ(カナリア・ブルーグリーン)運用のコツ

  • エージェント名をバージョン・デプロイタイプで区別(例: svc-v1.2-stable, svc-v1.3-canary)→ Flexboardやイベントタグでバージョン別比較が容易
  • カナリアの割合が小さいときは 指標変化が埋もれないよう カナリアのみフィルタしたダッシュボードを別途保持
  • トラフィックがカナリアへ移行している間、エラー率・応答時間を自動比較 するFlexboardを設計

自動化で引き上げる

デプロイパイプラインに品質ゲートを組み込む

  • デプロイ直後5分、エラー率1%超で自動ロールバック するフックをCI/CDに追加
  • WhaTap Open API で直近n分の指標を照会し、ゲートの判断に活用

MCPでデプロイ振り返りの下書きを自動生成

WhaTap MCP を活用すれば、AIエージェントに「直近のデプロイ前後1週間の指標比較レポートを作って」と依頼することで、振り返りの下書きを自動作成できます。数値収集の時間を大幅に短縮します。

結果確認

  • デプロイ直前のベースラインが 記録 されている(どこかに)
  • デプロイ後10分 / 1日 / 1週間の三時点で、誰が何を見るか が明確
  • ロールバック判断は 事前合意の数値基準 に沿って行われる
  • デプロイ1週間後、チームWikiに 振り返りの記録 が残る

リリース検証のルーチンが定着すると、「デプロイ後の漠然とした不安」が「体系化された検証フェーズ」に変わります。回帰の検知速度が上がる分、デプロイ周期も安全に短縮できます。

次のステップ